離散確率分布

0 でない確率をとる確率変数値が有限個の場合は、黒丸に縦棒で表す。
累積分布関数の例。上から順に、離散確率分布、連続確率分布、連続点と離散点があるとき。

離散確率分布(りさんかくりつぶんぷ、: discrete probability distribution)や離散型確率分布(りさんがたかくりつぶんぷ)は、確率論統計学において、0 でない確率をとる確率変数値が高々可算個である確率分布のことである。

累積分布関数値が高々可算個であることと同値である。

離散確率分布は確率質量関数に対応する。

定義

確率論において確率分布離散であるとは、0 でない確率をとる確率変数値が高々可算個であること、つまり

# { u R P ( X = u ) 0 } 0 {\displaystyle \#\{u\in \mathbb {R} \mid \operatorname {P} (X=u)\neq 0\}\leq \aleph _{0}}

であることである(0 は可算濃度)。

確率変数が離散型の場合はこれを満たす。

離散確率分布は確率質量関数で表される。

離散確率分布の累積分布関数階段関数(右連続)になる。

位相幾何学的には、 R {\displaystyle \mathbb {R} } で、確率が 0 でない確率変数値は全ての点は孤立点であり、それら全てからなる集合は離散集合である。しかし、この可算集合が実数直線上で稠密であるような離散確率変数も存在する。

統計学的モデリングでよく知られた離散確率分布としては、ポアソン分布ベルヌーイ分布二項分布幾何分布負の二項分布などがある。さらに離散一様分布は、コンピュータプログラムで無作為な選択を行う際によく使われる。

代替の説明

上記と等価的に、離散型確率変数をその累積分布関数ジャンプ不連続によってのみ増加するような確率変数と定義することもできる。すなわち、そのCDFは不連続な点でのみ増加し、不連続点と不連続点の間は一定である。このジャンプ不連続が起きる点はまさに、その確率変数がとりうる値に対応している。ジャンプ不連続点の数は有限または可算無限である。そのようなジャンプの位置は位相幾何学的に離散とは限らない。例えば、CDFが全ての有理数の位置でジャンプすることも考えられる。

以上から、離散確率分布はディラックのデルタ関数を使って確率密度関数を一般化したものとして表現することが多く、それによって連続分布と離散分布を統一的に扱うことができる。これは、連続部分と離散部分がある確率分布を扱う際に特に便利である。

確率変数の指示関数による表現

確率が 0 でない確率変数値を u0, u1, … とし、確率変数値に対応する事象を次のように表現する:

Ω i = X 1 ( { u i } ) = { ω Ω ; X ( ω ) = u i } , i = 0 , 1 , 2 , {\displaystyle \Omega _{i}=X^{-1}(\{u_{i}\})=\{\omega \in \Omega ;X(\omega )=u_{i}\},\,i=0,1,2,\cdots }

i}iΩ分割であるから、確率変数 X は次の式で表せる:

X = i α i 1 Ω i {\displaystyle X=\sum _{i}\alpha _{i}1_{\Omega _{i}}}

ここで α i = P ( X = u i ) {\displaystyle \alpha _{i}=\operatorname {P} (X=u_{i})} であり、1AA指示関数である。これを離散型確率変数の別の定義として使うこともできる。

関連項目

離散単変量で
有限台
離散単変量で
無限台
  • ベータ負二項(英語版)
  • ボレル(英語版)
  • コンウェイ–マクスウェル–ポワソン(英語版)
  • 離散位相型(英語版)
  • ドラポルト(英語版)
  • 拡張負二項(英語版)
  • ガウス–クズミン
  • 幾何
  • 対数(英語版)
  • 負の二項
  • 放物フラクタル(英語版)
  • ポワソン
  • スケラム(英語版)
  • ユール–サイモン(英語版)
  • ゼータ(英語版)
連続単変量で
有界区間に台を持つ
  • 逆正弦(英語版)
  • ARGUS(英語版)
  • バルディング–ニコルス(英語版)
  • ベイツ(英語版)
  • ベータ
  • beta rectangular(英語版)
  • アーウィン–ホール(英語版)
  • クマラスワミー(英語版)
  • ロジット-正規(英語版)
  • 非中心ベータ(英語版)
  • raised cosine(英語版)
  • reciprocal(英語版)
  • 三角
  • U-quadratic(英語版)
  • 一様
  • ウィグナー半円
連続単変量で
半無限区間に台を持つ
  • ベニーニ(英語版)
  • ベンクタンダー第一種(英語版)
  • ベンクタンダー第二種(英語版)
  • 第2種ベータ
  • Burr(英語版)
  • カイ二乗
  • カイ(英語版)
  • Dagum(英語版)
  • デービス(英語版)
  • 指数-対数(英語版)
  • アーラン
  • 指数
  • F
  • folded normal(英語版)
  • Flory–Schulz(英語版)
  • フレシェ
  • ガンマ
  • gamma/Gompertz(英語版)
  • 一般逆ガウス(英語版)
  • Gompertz(英語版)
  • half-logistic(英語版)
  • half-normal(英語版)
  • Hotelling's T-squared(英語版)
  • 超アーラン(英語版)
  • 超指数(英語版)
  • hypoexponential(英語版)
  • 逆カイ二乗(英語版)
    • scaled inverse chi-squared(英語版)
  • 逆ガウス
  • 逆ガンマ
  • コルモゴロフ
  • レヴィ
  • 対数コーシー
  • 対数ラプラス(英語版)
  • 対数ロジスティック(英語版)
  • 対数正規
  • ロマックス(英語版)
  • 行列指数(英語版)
  • マクスウェル–ボルツマン
  • マクスウェル–ユットナー(英語版)
  • ミッタク-レフラー(英語版)
  • 仲上(英語版)
  • 非心カイ二乗
  • パレート
  • 位相型(英語版)
  • poly-Weibull(英語版)
  • レイリー
  • relativistic Breit–Wigner(英語版)
  • ライス(英語版)
  • shifted Gompertz(英語版)
  • 切断正規
  • タイプ2ガンベル(英語版)
  • ワイブル
    • 離散ワイブル(英語版)
  • ウィルクスのラムダ(英語版)
連続単変量で
実数直線全体に台を持つ
連続単変量で
タイプの変わる台を持つ
  • 一般極値
  • 一般パレート(英語版)
  • マルチェンコ–パストゥール(英語版)
  • q-指数(英語版)
  • q-ガウス
  • q-ワイブル(英語版)
  • shifted log-logistic(英語版)
  • トゥーキーのラムダ(英語版)
混連続-離散単変量
  • rectified Gaussian(英語版)
多変量 (結合)
【離散】
エウェンズ(英語版)
多項
ディリクレ多項(英語版)
負多項(英語版)
【連続】
ディリクレ
一般ディリクレ(英語版)
多変量正規
多変量安定(英語版)
多変量 t(英語版)
正規逆ガンマ(英語版)
正規ガンマ(英語版)
行列値
逆行列ガンマ(英語版)
逆ウィッシャート(英語版)
行列正規(英語版)
行列 t(英語版)
行列ガンマ(英語版)
正規逆ウィッシャート(英語版)
正規ウィッシャート(英語版)
ウィッシャート
方向
【単変量 (円周) 方向
円周一様(英語版)
単変数フォン・ミーゼス
wrapped 正規(英語版)
wrapped コーシー(英語版)
wrapped 指数(英語版)
wrapped 非対称ラプラス(英語版)
wrapped レヴィ(英語版)
【二変量 (球面)】
ケント(英語版)
【二変量 (トロイダル)】
二変数フォン・ミーゼス(英語版)
【多変量】
フォン・ミーゼス–フィッシャー(英語版)
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