FAアマチュア・カップ

FAアマチュアカップ(: FA Amateur Cup エフエー・アマチュアカップ) は、イングランドに所在するアマチュアクラブを対象にしたかつてのサッカーの試合で1974年以前に開催された。創設は1893年フットボール・アソシーションがプロフェッショナルとアマチュアの区別を廃止したため、終了した。

沿革

アマチュアカップ創設を推し進めたN・L・ジャクソン(コリンシアンズFC(英語版)

選手を有償で雇ってサッカークラブが試合を構えることが合法化されプロチームが生まれると、まもなくサッカーの主要なノックアウト方式であるFAカップでプロが上位を独占するようになった。この事態に応えて1892年、イングランド最古のクラブであるシェフィールドFCの評議会はアマチュアチーム専用の別のナショナル・カップ戦を新設しよう、自分たちがトロフィーの製作費を負担しても良いと提案した[1]。フットボール・アソシエーション(FA)はこの提案をいったんは却下するものの、その1年後、提案そっくりの試合開催を決めている[1]。アマチュアカップ小委員会の委員長に任命されたニコラス・L・ジャクソン(英語版)コリンシアン(英語版)を代表し、製作代金30ポンドを手当てするとトロフィーを用意、第1回トーナメントを1893–94シーズン(英語)に催した[1]。主要な公立学校ごとに卒業生代表を集めた同窓会クラブ12に加え、オールド・カーサジアンというチャーターハウス・スクールの元生徒チームが初の決勝戦でカジュアルFC(英語版)を破った[2]。同窓生チームの同カップ出場はFAとの論争をきっかけに1902年で止まると分離、アーサー・ダン・カップ(英語版)として自分たちのような同窓生チーム専用のカップ戦を創設した[2]

FAがプロとアマチュアの区別を廃止すると、このカップは1973–74シーズン(英語)を最後に終了する。さかのぼること5年、イングリッシュ・フットボールリーグに加盟しないプロクラブを受け入れるFAトロフィーが始動しており、アマチュア最強のクラブは対戦相手がプロばかりのリーグに参戦し始めた。その他のアマチュアチームの受け皿には新たに FAヴェイスを設け、事実上、旧FAアマチュアカップの直系の後継とみなされた[2]

構成

1958年の覇者、ウォーキング

第1回トーナメントは1893年に81クラブが集まり、予選3ラウンドを介して本戦第1ラウンドを32試合にしぼり込んだ [3]。翌シーズンは前季の準決勝進出者を優待し、FAによる選抜クラブとともに予選ラウンドを開き、第1ラウンドを調整した[4]This remained the standard format until 1907[訳語疑問点]、第1ラウンドの参加クラブ数が64まで伸び続けて当初の2倍に達し、準決勝の下に第4回戦まで増やすなど構成を改めながら続け、1974年に発展的に解散する。


試合の競技場

ウェンブリースタジアム。1949年から1974年まで決勝戦を開いた。

アマチュアカップの試合は創設時の規約に決めたように、対戦する2チームのどちらかのホームグラウンドで行われ、時折、他の会場に移されることもあった。引き分けの後の再試合は、前の試合でアウェーだった側のチームのグラウンドで開かれた。それでも決まらないと、通常、それ以降のリプレイは両チームから中立の会場を使った。

大会の草創期、決勝戦はさまざまな場所で開催され、通常は決勝進出チームのどちらかのホームが選ばれた。決勝戦をウェンブリー・スタジアムに移した1949年以降、このトーナメントの解散まで決勝戦はこの競技場に固定される。1950年代、決勝戦の観客動員数は10万人に達し、規模でFAカップ決勝戦に匹敵した[2]

歴代の覇者と準優勝

長年にわたり、勝者はほとんどすべてイスミアンリーグに進むロンドンならびにホームカウンティ(英語版)、またはノーザン・フットボール・リーグ(英語版)に進むイングランド東北部に本拠を置くいずれかのチームが占めた。最多優勝クラブは10勝を挙げたビショップ・オークランド(英語版)である。またアマチュアカップの優勝チームでその後プロに転向し、イングランドのフットボール・リーグに参加したのはミドルスブラウェストハート・リヴァール(英語版)[注釈 1]ウィンブルドンウィコム・ワンダラーズバーネットである。イルフォードレイトンストーン(英語版)、合併したウォルサムストウ・アベニュー(英語版)[注釈 2]EFLにも出場した。

歴代のカップ獲得クラブは36であり、そのうち、以下のクラブは2回以上、カップを持ち帰った。

クラブ[注釈 3] リーグ 回数
ビショップ・オークランド(英語版) ノーザンリーグ(英語版)[5] 10
クラプトン(英語版) なし/イスミアンリーグ[注釈 4][6] 5
クロックタウン(英語版) ノーザンリーグ(英語版)[7] 5
ダリッジハムレット イスミアンリーグ[8] 4
ブロムリー イスミアンリーグ/アテナイリーグ 3
ヘンドン イスミアンリーグ/アテナイリーグ 3
レイトンストーン(英語版) イスミアンリーグ 3
ストックトン(英語版) イスミアンリーグ 3
エンフィールド(英語版) イスミアンリーグ 2
イルフォード イスミアンリーグ 2
レイトン アテナイリーグ 2
ミドルスブラ ノーザンリーグ(英語版) 2
オールドカーサジアン なし 2
ペガサス(英語版) なし 2
ウォルサムストウ・アベニュー(英語版) イスミアンリーグ 2

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ ウェストハート・リヴァールは合併し、ハートリプール・ユナイテッドに改称。
  2. ^ ウォルサムストウ・アベニューFCは合併後、プロのダゲナム&レッドブリッジになった。
  3. ^ ※=リンク先は英語版。
  4. ^ アマチュアカップ初優勝時、クラプトンはリーグに未加盟。残りの4勝はイスミアン・リーグ加盟チームとして出場した。

出典

参考文献

本文の典拠、主な執筆者名順。

  • Cox, Richard; Russell, Dave; Vamplew, Wray (2002). Encyclopedia of British Football. Routledge. p. 21. ISBN 0-7146-5249-0. https://books.google.com/books?id=JKbb02bg6zYC&q=%22fa+amateur+cup%22&pg=PA21 
  • Samuel, Richard (2003). The Complete F.A. Amateur Cup Results Book. p. 5. OCLC 59361937 ISBN 1862230668, 9781862230668

関連項目

ポータル サッカー
ポータル サッカー

関連資料

本文の典拠ではないもの。発行年順。

  • Association of Football Statisticians. Association of Football Statisticians report. バジルドン: Association of Football Statistians. 1982年初版。ISSN 0263-1342OCLC 1118116923。
  • Morris, Terry (2015). In A Class of Their Own: A History of English Amateur Football. Chequered Flag Publishing . ISBN 978-0-9932152-4-7.
  • Holzmeister, James R. "The 1883 F.A. Cup Final: Working Class Representation, Professionalism and the Development of Modern Football in England." Soccer & Society. ラウトレッジ、2017年3月: 18(2/3): 218–229. EBSCOhost, doi:10.1080/14660970.2016.1166771. 1883年のFAカップ決勝戦:労働者階級の代表、プロチームの台頭、イギリスの近代サッカーの萌芽。
  • Wheeler, Paul. "The British Isolation from World Football in the Middle Decades of the Twentieth Century – a Myth?" Soccer & Society. ラウトレッジ、2017年3月: 18(2/3): 230–244. EBSCOhost, doi:10.1080/14660970.2016.1166783.TWL 20世紀半ば、イギリスのサッカーは世界から孤立したかどうか。
  • Murtagh, Conall F., et al. "A Coding System to Quantify Powerful Actions in Soccer Match Play: A Pilot Study." Research Quarterly for Exercise & Sport. リヴァプール・ジョン・ムーア大学、2019年6月2日: 90: 234–243. EBSCOhost, doi:10.1080/02701367.2019.1576838. 試合中のプレーをデジタルデータ化する試み
  • Balassiano, Victor, and Steve Bullough. "Measures of Academy Productivity in English Championship Clubs." Team Performance Management. オックスフォード : エメラルド・グループ出版、2021年4月: 27(3/4): 332–350. EBSCOhost, doi:10.1108/TPM-09-2020-0083. 選手の学業とサッカークラブの成績

外部リンク

  • “The Football Club History Database”. www.fchd.info. 2009年1月6日閲覧。(英語) フットボールの歴史データベース