愛と虐殺の日々

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『愛と虐殺の日々 歴代小教典大全
聖飢魔IIベスト・アルバム
リリース
録音 魔暦紀元前13年 - 魔暦紀元前9年
ジャンル
時間
レーベル ソニー・ミュージックレコーズFITZBEAT
プロデュース 聖飢魔II
チャート最高順位
聖飢魔II アルバム 年表
有害
(1990年)
愛と虐殺の日々
(1991年)
LIVE! BLACKMASS IN LONDON
(1992年)
EANコード
JAN一覧
  • JAN 4988009226729(1991年・CD)
    JAN 4988009179247(1991年・CT)
『愛と虐殺の日々』収録のシングル
  1. BAD AGAIN 〜美しき反逆〜
    リリース: 魔暦紀元前9年2月1日
  2. 赤い玉の伝説
    リリース: 魔暦紀元前8年1月21日
  3. 「夏休み(爆裂聖飢魔II)」
    リリース: 魔暦紀元前8年7月25日
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愛と虐殺の日々 歴代小教典大全』(あいとぎゃくさつのひび れきだいしょうきょうてんたいぜん)は、日本のヘヴィメタルバンドである聖飢魔IIの第八大教典[注釈 1]

魔暦紀元前8年(1991年12月13日金曜日ソニー・ミュージックレコーズFITZBEATレーベルから発布された2作目のベスト・アルバム。ベスト・アルバムとしては『WORST』(1989年)以来およそ2年振り、その他の大教典も含めると『有害』(1990年)以来およそ1年3か月振りのリリースとなった。

本作には魔暦紀元前13年(1986年)から魔暦紀元前8年(1991年)までに発布された小教典がB面曲も含めてすべて収録されている他、爆裂聖飢魔II名義の楽曲や未発表曲も収録されている。また、日本テレビ系バラエティ番組『全員出席!笑うんだってば』(1989年)のエンディングテーマとして使用された「BAD AGAIN 〜美しき反逆〜」(1990年)および映画『陽炎』(1991年)の主題歌として使用された「赤い玉の伝説」(1991年)、爆裂聖飢魔II名義で発布された「夏休み」は本作にて大教典初収録となった。

本作はオリコンアルバムチャートにおいて最高位第16位となった。また、後にソニー・ミュージックレコーズ所属時の全小教典を収録した『愛と虐殺の日々〜歴代小教典 ソニー時代完全盤〜』(2013年)が新たに発布されている。

背景

第七大教典『有害』(1990年)発布後、聖飢魔IIは映画『陽炎』(1991年)の主題歌となった小教典「赤い玉の伝説」を発布。また、聖飢魔IIは同年に「爆裂聖飢魔II」という期間限定のコンセプト・バンドとして小教典「夏休み」を発布した[2]。しかし「爆裂聖飢魔II」のプロジェクトは構成員にとっては不本意なものであり、この時期から構成員と丸沢との間で認識のズレが顕著になってきたと湯沢は述べている他、小暮は構成員ではない丸沢が作品の内容に口出しすることを疑問視するようになっていたと述べている[3]。『有害』の後に長らく大教典を発布していなかったこともあり、3曲の仮歌を中心に広げていくという案が丸沢から出され、当時の事をSEX MACHINEGUNSの先取りであったと小暮は述懐した上で、マネージメント側とレコード会社側において打ち出していくバンドイメージに対する認識が大きく異なっていたと述べている[4]

同年には翌年開催予定であったセビリア万国博覧会のプレ・イベントである「セビリア・フェスタ・ジャパンデー」において、着物ショーや阿波踊りなどの日本の文化を披露する目的の催事が行われることになり、日本のバンドを代表して聖飢魔IIが同イベントに参加することになった[5]。結果として聖飢魔IIはスペインセビリアのみならずイギリスロンドンおよびアメリカ合衆国ニューヨークにおいてもミサを行うことになり、ニューヨーク在住の音楽プロデューサーからアメリカでのデビューを持ちかけられる事になったが、同プロデューサーが担当していたバンドが商業的に失敗し資金が枯渇したことから破談となった[6]

構成

本作には1枚目の小教典「蠟人形の館」(1986年)から12枚目の小教典「赤い玉の伝説」(1991年)までの合計11作の小教典に収録されたすべての楽曲に加え、爆裂聖飢魔II名義で発布された小教典「夏休み」および未発表曲であった「GOOD NIGHT MELODIES」も収録されている[7]。小教典の中にはレコードのみで発布され既に廃盤になっていて入手困難になっていたものや、アルバム未収録となっていた楽曲も含まれている[7]。本作収録曲の内、「蠟人形の館」および「JACK THE RIPPER」は大教典『THE END OF THE CENTURY』(1986年)収録の小暮によるMC入りバージョンとなっている他、「アダムの林檎」(1986年)および「EL・DO・RA・DO」(1987年)は大教典とはボーカルおよびミックスが異なる小教典バージョンでの収録となっている[7]。また、小教典のB面としてのみ収録されていた「BURNING BLOOD」「地獄への階段(完結編)」「SCHWARZ KASTELL」「怪力熊男」「JOKER」「織田信長」「MR. GOLDEN LAND」が大教典初収録となった[7]

爆裂聖飢魔IIとしての作品発表に関して、小暮は『有害』を受けたミサ・ツアー終了後の曲作りの合宿において構成員を笑わせようと適当な歌詞の仮歌でデモテープを制作していたところ、ディレクターの丸沢和宏がそれを気に入ったために別名義のバンドとして発布されることが決定したと述べている[8]ルーク篁によれば『有害』の売り上げが伸びず、曲作りも以前と変わらず行き詰まっている状況の中、丸沢が「どうも聖飢魔IIはハジけ切れてない。なんか面白くないぞ。このバンドは既成のモノをぶち壊すパワーを持っていたはずなのに。でも変に自信だけは持っている」と指摘、結果として丸沢の案を受け入れた構成員は爆裂聖飢魔IIとして作品を発布したものの、篁は丸沢が自由度を高めようとして発案したと推測した上で「そういう意味では大失敗だった。“こんなことやらなくていいじゃん”って。“こういう壊し方じゃなくたって”みたいなね」と述べている[8]。エース清水は爆裂聖飢魔IIはディレクター主導のお遊びであり、自身は何の思い入れもないと述べている[8]。丸沢は爆裂聖飢魔IIとしての活動が構成員にとっては不本意なものであったと認めた上で、「伝説のチャンバー・ライダー」の歌詞中にある「土曜の夜だぜ、フライデーナイト」というノリを重視したものの理性的であった構成員によって中途半端な出来になってしまったと釈明している[4]

リリース、批評、チャート成績

専門評論家によるレビュー
レビュー・スコア
出典評価
CDジャーナル肯定的[9]

本作は魔暦紀元前9年(1991年12月13日ソニー・ミュージックレコーズFITZBEATレーベルから2枚組CDおよび2本組CTの2形態で発布された。本作の帯に記載されたキャッチフレーズは「地球に降りた悪魔達の血と汗と涙の結晶、愛と非道の集大成。究極のシングルス・コレクション。」であり、また帯には極悪集大成盤『WORST』(1989年)収録曲とのバージョンの重複がないことが記載されている。CD付属のブックレットには聖飢魔IIのディレクターである丸沢のコメントが掲載されている他、中央部見開き部分にはそれまでに使用していた構成員のステージ衣装である戦闘服が掲載されている。また、掲載されている歌詞は手書きとなっている。

本作以前に発布された小教典の内、魔暦紀元前9年(1990年)2月1日に発布された「BAD AGAIN 〜美しき反逆〜」および魔暦紀元前8年(1991年)1月21日に発布された「赤い玉の伝説」、魔暦紀元前8年(1991年)7月25日に爆裂聖飢魔II名義で発布された「夏休み」は本作にて大教典初収録となった。小暮は同年に発布された作品は「赤い玉の伝説」および「夏休み」と本作しかなかったために「2枚組の教典は出しているものの、小教典集だし、最も何も出さなかったと言っていい一年だったね」と述べた他、年末からは海外公演の準備に追われる形になり教典の制作が困難な状態であったために「舞台、ミサの年だったわけだよね」とも述べている[8]

本作に対する評価として、音楽情報サイト『CDジャーナル』では本作には未発表曲が含まれるなどファン・サービスの側面があることや演奏技術が向上していることを紹介した上で、「信者でないかぎり全26曲通して聴くのはつらい」と指摘しながらも「手を変え品を変え、自分たちだけは飽きさせない努力は立派。マンネリの鑑かも」と肯定的に評価した[9]。本作はオリコンアルバムチャートにおいて最高位第16位の登場週数6回で、売り上げ枚数は6.0万枚となった[1]。本作は1994年7月1日に2枚組MDとして再リリースされた他、ソニー・ミュージックレコーズ所属時の全小教典を収録した『愛と虐殺の日々〜歴代小教典 ソニー時代完全盤〜』(2013年)として新たに3枚組CDとして再リリースされた。また、BMG JAPAN所属時の小教典を収録したシングル・コレクションに該当する大教典は発布されていない。

収録曲

  • CDブックレットに記載されたクレジットを参照[10]
DISC 1
#タイトル作詞作曲編曲時間
1.蝋人形の館ダミアン浜田ダミアン浜田聖飢魔II
2.JACK THE RIPPERダミアン浜田、デーモン小暮ダミアン浜田聖飢魔II
3.アダムの林檎デーモン小暮ジェイル大橋聖飢魔II
4.悪夢の叫びダミアン浜田ダミアン浜田聖飢魔II
5.EL・DO・RA・DOデーモン小暮デーモン小暮、紫馬肥聖飢魔II
6.BURNING BLOODデーモン小暮、エース清水エース清水聖飢魔II
7.1999 SECRET OBJECTデーモン小暮Sgt.ルーク篁III世聖飢魔II
8.地獄への階段(完結編)デーモン小暮デーモン小暮聖飢魔II
9.STAINLESS NIGHTデーモン小暮エース清水聖飢魔II
10.SCHWARZ KASTELLデーモン小暮デーモン小暮聖飢魔II
11.WINNER!デーモン小暮、ぬらりひょん吉Sgt.ルーク篁III世聖飢魔II、土橋安騎夫
12.害獣達けものたちの墓場デーモン小暮エース清水聖飢魔II、土橋安騎夫
13.白い奇蹟デーモン小暮エース清水聖飢魔II
合計時間:
DISC 2
#タイトル作詞作曲編曲時間
1.怪力熊男デーモン小暮Sgt.ルーク篁III世聖飢魔II
2.BAD AGAIN 〜美しき反逆〜デーモン小暮Sgt.ルーク篁III世聖飢魔II、松崎雄一ストリングス・アレンジ: 斉藤ネコ
3.JOKER 〜非力河童人間〜デーモン小暮エース清水聖飢魔II、松崎雄一
4.有害ロックデーモン小暮Sgt.ルーク篁III世聖飢魔II、松崎雄一
5.ピンクの恐竜デーモン小暮Sgt.ルーク篁III世聖飢魔II、松崎雄一
6.ファラオのようにデーモン小暮エース清水聖飢魔II、松崎雄一
7.織田信長デーモン小暮ゼノン石川聖飢魔II、松崎雄一
8.赤い玉の伝説デーモン小暮エース清水松崎雄一
9.MR. GOLDEN LANDデーモン小暮Sgt.ルーク篁III世松崎雄一
10.夏休み爆裂デーモン小暮、高野辰之爆裂Sgt.ルーク篁III世、岡野貞一爆裂聖飢魔II、爆裂マツザキ様
11.伝説のチャンバー・ライダー爆裂デーモン小暮爆裂デーモン小暮爆裂聖飢魔II、爆裂マツザキ様
12.BLACK BASS爆裂デーモン小暮爆裂Sgt.ルーク篁III世爆裂聖飢魔II、爆裂マツザキ様
13.GOOD NIGHT MELODIESデーモン小暮ゼノン石川聖飢魔II、松崎雄一
合計時間:

スタッフ・クレジット

  • CDブックレットに記載されたクレジットを参照[11]

聖飢魔II

録音スタッフ

  • 丸沢和宏 – ディレクター
  • 田中三一 – デジタル・マスタリング
  • 平野喜久雄 – マネージャー
  • 松元元ちゃん – マネージャー
  • もとやましげる – マネージャー
  • 山本健也 – プロジェクト・プロデューサー
  • 安場晴生 – プロモーション担当
  • おざわあゆみ – プロモーション担当
  • 岩井周三 – エグゼクティブ・マネージャー

美術スタッフ

  • 加藤靖隆(アボーヴ・アス・オンリー・スカイ・スタジオ) – アート・ディレクション、デザイン
  • 荒川俊一 – デザイン
  • 板東成留 – カバー写真、アーティスト写真
  • 菅野秀夫 – アーティスト写真
  • 幡野好正 – アーティスト写真
  • 中村ノブオ – アーティスト写真
  • 藤井春日 – アーティスト写真
  • 河部菜津子 – スタイリスト
  • さいとうまつたろう (Comigs) – セット・ワーク
  • 稲垣博司 – エグゼクティブ・プロデューサー

リリース日一覧

No. リリース日 レーベル 規格 カタログ番号 最高順位 備考 出典
1 1991年12月13日 ソニー・ミュージックレコーズFITZBEAT 2枚組CD SRCL-2267~8 16位 [1][9][12]
2 2本組CT SRTL-1792~3 16位 [1]
3 1994年7月1日 キューン・ソニー/FITZBEAT 2枚組MD KSY2-2019~20 - [13][14]

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 聖飢魔IIの作品において大教典(アルバム)は種類を区別せずに通して数えるため、悪魔教の大教典としては極悪集大成盤(ベスト・アルバム)『WORST』を含めて8作目となる。

出典

  1. ^ a b c d オリコンチャート・ブック アルバムチャート編 1999, p. 81.
  2. ^ 山田晋也 2006, p. 105- 「【第四章】絶頂の極み!?」より
  3. ^ 山田晋也 2006, pp. 105–106- 「【第四章】絶頂の極み!?」より
  4. ^ a b 山田晋也 2006, p. 106- 「【第四章】絶頂の極み!?」より
  5. ^ 山田晋也 2006, p. 112- 「【第四章】絶頂の極み!?」より
  6. ^ 山田晋也 2006, p. 116- 「【第四章】絶頂の極み!?」より
  7. ^ a b c d 愛と虐殺の日々 1991, p. 5.
  8. ^ a b c d 山田晋也 & GiGS編集部 2000, p. 218- 「大教典録 聖飢魔IIサウンドの歴史的変遷」より
  9. ^ a b c “聖飢魔II / 愛と虐殺の日々 歴代小教典大全 [2CD]”. CDジャーナル. 音楽出版社. 2024年6月30日閲覧。
  10. ^ 愛と虐殺の日々 1991, pp. 4–22.
  11. ^ 愛と虐殺の日々 1991, p. 23.
  12. ^ “聖飢魔II/愛と虐殺の日々 歴代小教典大全”. TOWER RECORDS ONLINE. タワーレコード. 2024年6月29日閲覧。
  13. ^ “愛と虐殺の日々 歴代小教典大全. DISC1”. 国立国会図書館サーチ. 国立国会図書館. 2024年6月29日閲覧。
  14. ^ “愛と虐殺の日々 歴代小教典大全. DISC2”. 国立国会図書館サーチ. 国立国会図書館. 2024年6月29日閲覧。

参考文献

  • 『愛と虐殺の日々』(CDブックレット)聖飢魔II、ソニー・ミュージックレコーズ、1991年、4 - 23頁。SRCL-2267~8。 
  • 『オリコンチャート・ブック アルバムチャート編 昭和62年-平成10年』オリコン、1999年7月26日、81頁。ISBN 9784871310468。 
  • 山田晋也、GiGS編集部『悪魔の黙示録~聖飢魔II最終読物絵巻教典~』シンコー・ミュージック、2000年3月1日、218頁。ISBN 9784401616350。 
  • 山田晋也『聖飢魔II 激闘録 ひとでなし』酣燈社、2006年6月6日、105 - 116頁。ISBN 9784873571911。 

関連項目

外部リンク

  • ソニー・ミュージック公式『愛と虐殺の日々(歴代教典大全)』
  • 聖飢魔Ⅱ / 爆裂聖飢魔Ⅱ – 愛と虐殺の日々 (歴代小教典大全) - Discogs
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