位相

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曖昧さ回避 位相角」はこの項目へ転送されています。天文学における位相角については「位相角 (天文学)」をご覧ください。
位相
phase
量記号 α
次元 無次元量
SI単位 ラジアン (rad)
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単純な振動運動は周期的に変化する変位である。

位相(いそう、英語: phase)とは、繰り返される現象の一周期のうち、ある特定の局面のことであり、波動などの周期的な現象において、ひとつの周期中の位置を示す無次元量でもある。通常は角度(単位は「度」または「ラジアン」)で表される。

たとえば、時間領域における正弦波

y(t) = A sin(ωt + α)

とすると、(ωt + α) のことを位相と言う。特に t = 0 における位相 α は初期位相あるいは位相角と呼ばれる。あるいは単に、この正弦波の位相は α であるということも多い。いずれの定義を採用するにしても、上記の式のA: 振幅、ω: 角周波数、α: 位相の3つのパラメータにより、正弦波は完全に記述される。 また、位相差を求める際には同一基準の時間領域で行う。変位を用いて表した位相も同様である。 位相差は点同士、もしくは波同士に適用可能である。 例えば上式で表される波とy(t) = A sin(ωt + α+δ)で表される二つの波の位相差はδとなる。そして、このδがπの偶数倍の時、二波は同位相、πの奇数倍の時、二波は逆位相という。

複素数による表現

時間領域における複素数の正弦波は、次のように表現される。

Y ( t ) = A e i ( ω t + α ) {\displaystyle Y(t)=Ae^{{\mathit {i}}\,(\omega t+\alpha )}}        (1)

ここで、 e {\displaystyle e} は自然対数の底(ネイピア数)、 i {\displaystyle {\mathit {i}}} は虚数単位、Aは振幅、 ω {\displaystyle \omega } は角周波数、 α {\displaystyle \alpha } は位相である。

オイラーの公式 e i θ = cos θ + i sin θ {\displaystyle e^{{\mathit {i}}\,\theta }=\cos \theta +{\mathit {i}}\sin \theta } )より

A e i ( ω t + α ) = A cos ( ω t + α ) + i A sin ( ω t + α ) {\displaystyle Ae^{{\mathit {i}}\,(\omega t+\alpha )}=A\cos(\omega t+\alpha )+{\mathit {i}}A\sin(\omega t+\alpha )}        (2)

が成り立つ。このように、式(1)の実部と虚部は実数の正弦波である。

式(2)は、複素平面上で時間の経過とともに、原点を中心とする半径Aの円周上を等速で回転する。それを複素平面の実軸へ正射影したものは A cos ( ω t + α ) {\displaystyle A\cos(\omega t+\alpha )} であり、虚軸へ正射影したものは A sin ( ω t + α ) {\displaystyle A\sin(\omega t+\alpha )} である。

交流における位相

三相交流の波形

電流電圧、信号が時間とともに変化するものを交流といい、その周期の位置が位相である。

正負両端子の波形が同位相であることをコモン・モードといい、逆をノーマル・モードという。

120度ずつ位相がずれた3系統の交流を三相交流という。

電圧と電流の波形がずれ、位相差が生じた際、その位相差の余弦を力率という。力率の改善に用いる進相コンデンサがある。

関連項目

脚注


外部リンク

  • 日本大百科全書(ニッポニカ)における位相の解説「(2)物理用語」『位相』 - コトバンク
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