ひずみエネルギー

曖昧さ回避 この項目では、ひずみによって連続体内に蓄えられたエネルギーについて説明しています。構成原子間の電気的また立体的原因で生じるポテンシャルエネルギーについては「ひずみエネルギー (有機化学)」をご覧ください。

ひずみエネルギー (Strain energy) とは弾性体外力が仕事をした場合、弾性体に蓄えられるエネルギー。単軸引張状態では、応力σ、ひずみεが生じている体積V の物体に蓄えられるひずみエネルギーU は、

U = V ( 0 ϵ σ d ϵ ) d V = V ( 1 2 σ ϵ ) d V {\displaystyle U=\int _{V}\left(\int _{0}^{\epsilon }\sigma d\epsilon \right)dV=\int _{V}\left({\frac {1}{2}}\sigma \epsilon \right)dV}

となる。

棒材のひずみエネルギー

全長 l {\displaystyle l} の弾性体に作用する外力やモーメントを、軸力 N {\displaystyle N} 曲げモーメント M {\displaystyle M} せん断力 Q {\displaystyle Q} とすると、ヤング係数 E {\displaystyle E} 、断面積 A {\displaystyle A} 断面二次モーメント I {\displaystyle I} 、せん断弾性係数 G {\displaystyle G} 、形状係数 κ {\displaystyle \kappa } の部材に蓄えられるひずみエネルギー U {\displaystyle U} は、

U = 1 2 l N 2 E A d x + 1 2 l M 2 E I d x + 1 2 l κ Q 2 G A d x {\displaystyle U={1 \over 2}\int _{l}{N^{2} \over EA}\,dx+{1 \over 2}\int _{l}{M^{2} \over EI}\,dx+{1 \over 2}\int _{l}{\kappa Q^{2} \over GA}\,dx}

で与えられる。

トラス

トラス構造では、主に作用するのは軸力なので、部材数 m の場合

U = 1 2 k = 1 m N k 2 l k E k A k {\displaystyle U={1 \over 2}\sum _{k=1}^{m}{N_{k}^{2}l_{k} \over E_{k}A_{k}}}

梁構造では、主に作用するのは曲げモーメントとせん断力であるから、

U = 1 2 l M 2 E I d x + 1 2 l κ Q 2 G A d x {\displaystyle U={1 \over 2}\int _{l}{M^{2} \over EI}\,dx+{1 \over 2}\int _{l}{\kappa Q^{2} \over GA}\,dx}

補足ひずみエネルギー

「w:Strain energy density function」も参照

次式で定義されるUC を、補足ひずみエネルギーまたはコンプリメンタリひずみエネルギーcomplementary strain energy)という。

U C = V ( 0 ϵ ϵ d σ ) d V {\displaystyle U_{\mathrm {C} }=\int _{V}\left(\int _{0}^{\epsilon }\epsilon d\sigma \right)dV}

上式の括弧の中は補足ひずみエネルギー密度関数と呼ばれる[1]。線形弾性体では UC = U であるが、高分子などの非線形弾性体では両者は異なる。

脚注

  1. ^ 野田直剛; 谷川義信; 須見尚文; 辻知章『基礎弾性力学』(8版)日新出版、1999年、39頁。ISBN 4-8173-0146-5。 

関連項目